たとえ時代の流れに逆らっても、
歴史を変えてしまうのだとしても、
運命を変えたいと、
あの人を助けたいと思うのは罪なのだろうか………









「碧に還る日〜失い続けた先に求めたもの〜」









最近、私の頭を占めているのは、ついこの間発売になったゲーム。
「幕末恋華新選組」
もともと新選組が好きなので、気になって買ってみたのだけれど…。




まず、キャラクターの設定を見て、絶句。




こっ…近藤局長が金髪!?
ありえん。
しかも女好きって……
奥さんがいながら、他の女性を身請けしてるから、こんな設定ができたんだろうか?
軽くて頼りなさそうな局長だなぁ…。




監察方の山崎さんなんて、もっての他だ。
お…オカマ?
っていうか、監察方がこんなカッコしてちゃ、余計目立つだろう!






それにしても、さすがはゲーム。
みなさん、ずいぶんと男前にデザインされてるなぁ。
実際に写真を拝見した隊士の方もいるけれど、あまりのギャップに驚いてしまったり。



でも、ゲームのシナリオは、キャラクターのデザインのように甘くはなかった。
史実を元にしているのなら、当然のことかもしれない。
死ぬと分かっている隊士が、画面の前で次々と逝ってしまうのは、やはり耐えられないものがある。
それが自分にとって、思い入れのある隊士ならなおさらだ。



その中で信じられないEDを迎える隊士もいた。






この人は、どうして生きてるの?






史実と違う結末を迎える隊士がいるのなら、どうしてあの人は死を避けられないのだろう。
やるせない気持ちでいっぱいになる。






この日も、いつもと同様、こんなことを考えながら、家までの道を歩いていた。

ところが、ふと視線を上げると、辺りに霧が立ち込めて視界が悪くなっている。
霧はより濃くなって、周りが全く見えなくなってしまった。



「え…?なにこれ……」



先が見えないはずの霧の向こうから、黒い影がこちらへ近づいてくる。
「汝、時空を越えたいか?」
「……は?」
目の前までやってきた黒い影が、不思議な包みを差し出した。
「これを飲めば、汝は時を行き来することができる。」
「……ホントに?」
「ただし、どの時代に行き着くかは、汝の心の強さ次第。さあ、どうする?」






私は暫く躊躇ったけれど。
その包みを受け取った。
これがあれば、あの人を助けられるかもしれない。
そう思ったから。


私は、包みを開いて、それを一口飲んだ。
次第に目の前が暗くなり、意識が遠のいていく。



戻るなら、どうかあの人がまだ生きていた時代に。
新選組が、まだ壬生浪士組と呼ばれていたあの頃に…。







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